Let Me In

約5年ぶりの正式かつ完全体カムバックです。あのエクソの。
という事実の凄さが、今（2023年）のK-POPリスナーにはあまり伝わってないと知った時は、顎が外れそうになりました。コロナ禍（2020〜2022年）に新規K-POPリスナーが増えたため、その期間に目立った活動が無かったエクソはもう、過去の人扱い、どこが凄いの？となってしまっているらしいです。

まあそれも仕方ないか〜と思います。一時はしのぎを削っていたバンタンも、今やエクソとは比べ物にならないくらいの世界的トップスターになってしまいましたし、今のK-POP界で標準装備とされるセブチを代表とするカル群舞やシンクロダンスとは全然違うパフォーマンスですし（揃える気が無い）。そもそもシンクロダンスは10年以上前にINFINITEという偉大な先輩が打ち立てた手法なのですが…（というK-POP老人の回顧）（株式会社INFINITE設立おめでとうございます社長）

今のK-POPでスタンダードになっている表現や手法、プロモーション、スター性、それ全部エクソがスタンダード化させたんや…。と言っても、今の若いグループが好きなリスナーからしたら、どうでも良い歴史でしょう。それでいいんです。
バンタンが航路を見出しK-POPを大衆化しメインカルチャーに押し上げて、ハード面で貢献してきたことに対し、エクソはK-POPの歴史の中で革命を起こして熱狂させ、様式を確立して“文化”を作り上げ、ソフト面で貢献してきたグループだと思っています。前者は定量化しやすく、後者はしにくい。でも数字で測れないものは確かに存在します。
若いグループのアイドル達が、いまだにエクソをカバーしたり、憧れとして名前を挙げるところに、全て表れていると思うので。

その中でアナウンスされたエクソのカムバック。年上組が除隊し、マンネライン2人が入隊前という全員揃うタイミングで、全K-POP老人が期待していたエクソの完全体カムバック。が、なんとも悲しいことに、カイくんという絶対的センターの突然の入隊により、“完全体”ではなくなってしまいました（その前にもSMのごたごたなどがあり、ハラハラの展開でしたが…）。それでも正規フルアルバムを携えて、もはや神話上の人物と化していたエクソがカムバックしてくれたことは、今年とても大きな意味のある出来事だったと思います。

浦島太郎エクソがカムバ一発目に出してきた先行曲が、この曲でした。
正直、私がエクソに熱狂していたのはもう10年も前、一度離れたK-POP文化圏にセブチのおかげで戻ってきて、10年前とは何もかもが違って、正直そこまでエクソに熱中することはないと思っていました。今スングァンを見ているのと同じ熱量で、エクソのみんなを見れるとは思えなかったのです。
でも、この曲が。
全ての感覚を思い出させてくれました。没入感。浮遊感。寂しさ。永遠。実体の無い感じ、金属の匂い、ひんやりした感じ、心許ない時間感覚。アイドルを見ていて、このような感覚を得られることがあるだろうか？通常、アイドルとは真逆なこれらの感覚こそ、エクソだという感じがします。MVひとつで思わずアルバム全種買ってしまうくらいのテンションにさせてくれて、ありがとう。

暗闇の中へ消えていく君

チャニョルの深く優しい声のハミングからの、導入部専門家ギョンスの一言目が「暗闇」。冬の海の深く光の届かない場所まで、静かに、でも一気に沈んでいくような感覚。

けだるい君の胸の中を漂いたい

こんな歌詞が、ありますか。イントロの一音目でもう心掴まれているのに、こんな詩的な歌詞をBAEKHYUN大先生に歌われたら、その“君”への想いの深さに、訳もわからず泣きそうになります。惚れた腫れたの話ではない、何か強くて深くて静かな感情が、楽曲全体に横たわっているのを感じるのです。それがここまで力まずに表現できるのは、大人になったエクソならでは…泣

MVも、どんなカメラを使っているのかわかりませんが、少ないモチーフにも関わらずこの密度の高さ。視線だけで語れる表現力、存在感。散りばめられるモチーフに無駄がない。さすがすぎる。本気だ、と感じました。

全てが止まって　目と耳をふさいで
息ができなくなっても　君のところへ
全てが止まっても　僕に口づけをして
永遠にはできないとしても
このまま　ただそうしていて

後半のブリッジの部分、ここで歌詞とリンクするように、時間が全て逆戻りします。
誰かを想う時に、私たちの時間は伸び縮みする。永遠を求めて、時が止まることを願う。この世界にいるのがその人と自分だけになったっていい。
そう思うと、少し死の匂いも感じる歌詞な気がします。

第2先行曲（？合ってる？？）‘Hear Me Out’ で一気に肩の力を抜き、活動曲 ‘Cream Soda’ で大人の余裕を爆発させたエクソさん。カイくんがいたら…とどうしても思ってしまいますが、それでも歌唱、楽曲解釈、パフォーマンス、収録曲、プロダクトとしてのアルバム、プロモーション全体のデザインまで全ての完成度が高く、安心して身を委ねられるこの気持ちよさ、改めて希少なグループだな、と思いました。あと周りの大人達も全員本気すぎ。ティザーフォト（アルバムのフォトブックにも収録）も、クオリティ高すぎておかしいんですよね。これはSMにしかできないクリエイティブ。2023年のSMは全グループ、高クオリティの作品・プロモーションを連発しすぎてて恐ろしいことになっていて、2024年に事務所ごと爆発して消滅する気なのか？と疑ってます。それでもいいよ。嘘、未来永劫続いてください。

今年のケレンでスングァンが披露した、‘전야 (前夜) (The Eve)’ のダンスプラクティスを置いておこう。この動画億超えしてるけど、実は収録曲というモンスター楽曲なんすよね…。ちなみに元Super Juniorのヘンリーちゃんが作曲に携わってます（ヘンリーちゃんによる英語歌詞デモ動画）

あともう一つ（Let Me Inそっちのけ）、K-POPのひとつの到達点ともされる ‘Tempo’ はどうしても外せない。こちらはYouTubeやNoteに楽曲や振付解説がごろごろ転がっているので、ぜひ探してみてください。今NewJeansを筆頭にK-POPで多用されているジャンルの走りでもあり、至高の楽曲です。ちなみにすごい変な曲です。

エクソは世界を熱狂させたというところが一番凄いポイントだと思っていて、あの時代の空気感を肌で味わっていないと伝わりにくいところもあるのかなと思うのですが、1曲だけではなかなか理解しにくいので色んな作品を見てほしいです。今年、念願のKilling Voiceにも出てくれましたが、これもエクソ履修のきっかけにもなるかと。

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韓国語勉強中です
あくまで自分で楽曲解釈を深めるための和訳なので、意訳が多いです

SUHO XIUMIN LAY
BAEKHYUN CHEN CHANYEOL
D.O. KAI SEHUN

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Credits

Korean Lyrics	Enzo
Composed	Je’Juan Antonio, Hassan Ashi Jr, Jayden Henry, Jordain Johnson, Kelsey Merges, Noah Barer, Kaelin Ellis, Hautboi Rich
Arranged	Noah Barer, Kaelin Ellis
Vocal Directed	김연서
Background Vocals	BAEKHYUN, CHEN, D.O., SUHO, ESBEE
Recorded	우민정 @sound POOL studios
Digital Editing	우민정
Engineered for Mix	노민지 @SM Yellow Tail Studio
Mixed	남궁진 @SM Concert Hall Studio

Original Title	SNOWFALL
Original Writers	Je’Juan Antonio, Hassan Ashi Jr, Jayden Henry, Noah Barer, Jordain Johnson, Kelsey Merges, Kaelin Ellis, Hautboi Rich
Original Publishers	Universal Music Publishing Korea, Copyright Control, Fujipacific Music Korea Inc., Poolside Cries(BMI), Kaelin Ellis(BMI), EKKO Music Rights(powered by CTGA)